WUXGA対応 高解像度ワイド液晶ディスプレイ選び

このページは、Apple MacBook Pro に関するトピックをまとめた「myLife with MacBook Pro」で、
大変反響を呼んだ WUXGA ワイド液晶ディスプレイに関するトピックを独立させたものです。

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詳しくは「記事を読む前に・ごあいさつ」をお読みください。

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■ 目次

  1. 記事を読む前に・ごあいさつ
  2. ニュース・最近の更新
  3. 関連リンク集
  4. WUXGA市場の背景・歴史
  5. スペック・機能・評価一覧
  6. 目への負担について(ギラギラツブツブ
  7. 液晶ディスプレイの選び方
  8. 製品スペックの読み方・用語解説 〜間違いだらけの常識〜
  9. 製品スペックの読み方・用語解説 〜色域・色彩学編〜
  10. 液晶の駆動形式について(TNVAIPS
  11. WUXGA対応製品一覧 & ひとことコメント
  12. [レビュー] NEC MultiSync LCD2690WUXi / LCD2690WUXi製品レビュー
  13. [レビュー] NEC MultiSync LCD2490WUXi
  14. [レビュー] EIZO ColorEdge CG241W
  15. [レビュー] EIZO FlexScan SX2461W / SX2761W / SX3031W-H
  16. [レビュー] MITSUBISHI RDT261WH / RDT261WH 特集ページ
  17. [レビュー] MITSUBISHI VISEO MDT241WG / MDT241WG 特集ページ
  18. [レビュー] I-O DATA LCD-MF241X
  19. [レビュー] SHARP AQUOS Pシリーズ
  20. [レビュー] EIZO FlexScan S2411W
  21. EIZO のネガティブキャンペーンについて
  22. [レビュー] EIZO FlexScan HD2451W
  23. [レビュー] BenQ FP241VW
  24. [レビュー] Apple Cinema Display 23"
  25. 独断と偏見によるディスプレイランキング
  26. 液晶ディスプレイを快適に利用するための設定術(輝度と色温度)
  27. 今後の動向(注目パネル・業界の動き)
  28. 液晶ディスプレイに関する雑談
  29. 提携中のショップ(アフィリエイト)
  30. 特別付録液晶ディスプレイとカラーマネージメント
  31. 特別付録あつまれ!いろんなディスプレイの評価・キャリブレーション結果
  32. 特別付録FOMA F905i 3.2インチ フルワイドVGA IPS液晶ディスプレイレビュー
  33. 特別付録i1Display 2 vs Spyder3 Elite 入門キャリブレータ比較レビュー
  34. 【付録資料】 HDMI に関する補足
  35. 【付録資料】 HDMI・DVI-D ケーブル一覧
  36. 【付録資料】 廃盤になった過去の WUXGAディスプレイたち。

【ここは記事5ページ目です】 これより前のトピックは「4ページ目」をご覧下さい。

■ 独断と偏見によるディスプレイランキング

● 画質が良いディスプレイランキング

  1. NEC MultiSync LCD2690WUXi
  2. NEC MultiSync LCD2490WUXi
  3. EIZO FlexScan SX2461W / SX2761W
  4. MITSUBISHI RDT261WH
  5. EIZO FlexScan S2431W

※ EIZO ColorEdge CG221 は価格面から対象外、CG241W は画質未評価のため対象外

● 目に優しいディスプレイランキング

  1. SHARP AQUOS LC-26P1-W / LC-22P1-W
  2. NEC MutiSync LCD2690WUXi / LCD2490WUXi
  3. MITSUBISHI RDT261WH
  4. MITSUBISHI VISEO MDT242WG
  5. BenQ FP241VW

● マルチメディア向けディスプレイランキング

  1. MITSUBISHI VISEO MDT242WG
  2. EIZO FlexScan HD2451W

● コストパフォーマンスが高いディスプレイランキング

  1. n/a

なぜかこのセクションだけ、で・ある調でお送りしました。

▶ ほんとうに目に優しい液晶ディスプレイ

 LG Display H-IPSパネル、AUO A-MVAパネルはたしかに従来のアジアメーカー製パネルや、現行の Samsung S-PVAパネルよりもギラつきが少なく、目に優しいです。しかし、それはあくまで相対的なもので、繊細な目を持つ人はLCD2490WUXi、MDT242WGクラスの液晶ディスプレイでも、激しい眼精疲労や頭痛に悩まされてしまうようです。

 絶対的に目に優しい液晶が欲しければ、やはり日本国産の液晶パネルを積んだ製品を選んでください。はっきり言って別次元です。

  1. SHARP AQUOS LC-26P1-W / LC-22P1-W (Full HD/VA)
  2. NEC MultiSync LCD2190UXi (UXGA/IPS)
  3. NANAO EIZO FlexScan L997 (UXGA/IPS)
  4. iiyama ProLite H2130 (UXGA/IPS)

■ 液晶ディスプレイを快適に利用するための設定術

 このセクションでは液晶ディスプレイを購入後、快適に利用するための設定・運用方法、またそれに関する前提知識について解説します。

● 最適な輝度を設定する

 人間の視覚は、明るさに対して極めて広い感度(ダイナミックレンジ)を持っています。(0.000 05ルクスの星から、100,000ルクス以上の青空も見ることが出来る。)普段この感度は無意識のうちに目が勝手に調整してくれています。しかし、その感度調節にはある程度の時間が必要です。例えば、照明をすべて消し寝るときは真っ暗で何も見えなくても、夜中トイレなどに起きたとき、わずかな月明かりで部屋の中を見ることができますが、朝 遮光カーテンを一気に開けると目がくらみ、眩しくて外を見ることができません。

 ディスプレイの明るさを設定するときに大事なのは絶対的な明るさではありません。(前途の通り目は優秀なのでいくらでも調整できる。)最も重要なのは相対的な明るさです。つまり、ディスプレイをみる環境(部屋)が明るければディスプレイも明るく、環境が暗ければディスプレイも暗くしなければなりません。なぜなら、例えばディスプレイが周りより明るい場合、目線がディスプレイにいくたびに目がくらんでしまい、目に大きな負荷をかけてしまうからです。(ちなみに某事件後、アニメ放送などでよく見かける「テレビを見るときは部屋を明るくして離れてみてね」という注意には、画面と周りの明るさを一致させなさい という意味が含まれています。)

 しかし目の優秀さ故に、ディスプレイの明るさと周りの明るさの差はなかなか分かりません。そこで登場するのが明るさに対して「優秀ではない」デジタルカメラです。デジタルカメラに使われているCCDは我々人間の目に対して、読み取ることができる明るさの幅(ディスプレイで言うコントラスト比、カメラでいうラティチュード)が極めて狭い照度センサーです。

 まずデジカメのシャッタースピード、絞り、CCD感度、ホワイトバランスを固定してください(M:マニュアルモード) 。そして室内の風景を何度か撮影し、カメラの設定(露出)を変え、あなたが目で見ている明るさに近づけてください。設定が決まったら、そのままの設定でディスプレイを撮影してください。もし、ディスプレイの表示内容が白飛びしている場合、ディスプレイは明るすぎます。逆にうす暗く写っていればディスプレイは暗すぎます。デジカメの撮影結果を基に、ディスプレイの各種設定を調整してください。

[ 250cd/m2 は暗い!? ]

 先日発売された BenQ G2400W は最大輝度が250 cd/m2と他のディスプレイより低めに設計されています。これはG2400Wがオフィスでの事務用途向けであるためだと考えられます。名機と言われる EIZO L997、L887、NEC LCD2190UXi もすべて250cd/m2 であることから、理想的な値であることが容易に解ります。しかし一部の無知な消費者から「いまどき250cd/m2なんてダサい!暗すぎだよね〜(笑)」という(頭の悪そうな)意見がでています。では、250cd/m2という輝度がどれだけ「暗いか」を検証してみましょう。

 私がコンピュータと液晶ディスプレイを置いている部屋は6畳で、そこに 40W+32Wの環形蛍光灯を使うシーリングライトを設置しています。これは8畳部屋向けの照明器具です。さらに、それに反射板によって直下照度が30%向上している東芝 メロウZ PRIDE 蛍光灯を取り付けています。つまり、標準的な部屋よりかなり明るくしているということです。JISによって活動中の居間・子供部屋・勉強部屋・応接室(洋間)などでは 150〜300ルクスの照度が適しているとされていますが、私の部屋は机の上で280ルクス(垂直上方向測光時)と上限ギリギリのまぶしさになっています。

 さてこの明るい部屋で250cd/m2に設定したディスプレイはどのように映るのでしょうか? 百聞は一見にしかず。実際に見てみましょう。

表示画像
▲ ディスプレイに表示させた画像(スクリーンショット)

240cd/m2 in 280lux
▲ 280ルクス(机上)の環境に 240cd/m2 に設定したディスプレイを設置した場合(右下のカラーチャートは合成)

 白点色温度などの調整で輝度が少し下がることを考慮して、ディスプレイの輝度を10cd/m2落として撮影しました。ご覧の通りバカみたいに明るいです。写真は画面に対してやや斜めから撮影しているため、正面からみるともっと眩しいです。実際にディスプレイを見ると、眩しいとか目が痛いというより目がくらみます目を細めないと直視できないほどです。朝、目覚めた直後にカーテンを一気に開けた時の感覚です・・・。どのようなシーンを想定しても 250cd/m2の輝度が必要な例が見つかりません。

80cd/m2 in 280lux
▲ 上と同条件でディスプレイを 80cd/m2に変更した場合

 では一般家庭でどのくらいの輝度が必要なのでしょうか?うえの写真はディスプレイを sRGB規格で規定されている 80cd/m2 に合わせ、さらに室内照明と同じ白点色温度にセッティングした場合です。画面に表示したカラーチャートと、実際のカラーチャートの色が概ね一致しており、最適な組み合わせであることが判ります。300ルクス程度の部屋であれば 80cd/m2あれば十二分ということです。厳密に言うと、この組み合わせだとまだディスプレイの方が若干眩しいので、環境光を300luxまで上げるか、ディスプレイの輝度を60〜70 cd/m2 に下げた方が良いでしょう。ところでほとんどのシーリングライトは明るさを2段階(高性能なものは20段階程度)に調光できます。私の部屋の照明は弱くしたときに 180ルクスになります。この環境では40cd/m2 くらいでも十分明るく見ることが出来ます。

 液晶ディスプレイのバックライトに使われている冷陰極管(CCFL)は3万〜5万時間で全拘束が半減すると言われています。3万時間は、1日12時間使ったとしても約7年間かかります。「使っていくうちに画面が暗くなることを想定して、明るめのディスプレイを買っておこう!」という考えははっきり言って無駄です。その前に他の部品が故障する可能性のがはるかに高いです。またそのとき、修理受付自体が終わっているか、修理費が新品を買うくらいになっているのがオチでしょう。

 本サイト「製品スペックの読み方・用語解説 〜間違いだらけの常識〜」でも解説したとおり、意味も分からないのにスペックシートの数字だけで製品の善し悪しを判断するのは極めて危険であることを理解してください。ちなみに、上の検証結果からすれば、400cd/m2、500cd/m2 なんて発狂しているとしか思えませんよね・・・。まあ屋外で使うには良いかもしれませんが・・・。(直射日光が当たる場所では逆に500cd/m2程度では全く足りません。)

● 最適な色温度を設定する

 まず色温度(いろおんど)について説明します。学術的に言うと「外部からのエネルギー(光・電磁波・熱など)をすべて吸収してしまう黒体(完全放射体)が放射する光の波長を、その黒体の絶対温度で表現したもの」となります。訳が分かりませんね。要するに、黒い物体の温度が上がっていくと、黒→赤→黄色→青 の順に発光することから、その色を物体の温度で表してしまおう! というものです。そのため、単位は絶対温度である K:ケルビン で表します。例えば 5000K は、摂氏 約4700度の物体が出す光の色を表しています。説明が分かった人も、分からなかった人も、色温度が低ければ赤っぽく、高ければ青っぽくなるという事だけ覚えておいてください。

 実際、我々が体感する色温度の違いといえば、太陽光と照明がおなじみではないでしょうか。朝焼け・夕焼け時は2500K〜4000K と低くなります。一般的な電球も3000K前後です。日中の太陽光 や 昼白色蛍光灯は 5000K前後です。曇った日や 昼光色蛍光灯は 6500K前後 です。でも、夕暮れ時に人の顔をみても茹でだこのようには見えませんし、曇った日に顔が真っ青に見えることもありません。これは我々の脳が色温度を調整してくれるためです。それができないカメラの場合は、フィルターやホワイトバランス設定で色温度を補正してやる必要があります。(デジタルカメラについているオートホワイトバランス機能は、自動的に色温度を計測し補正するものですが、人間の補正能力には全くかなわないのが現状です。)

 ディスプレイの色温度は、sRGB規格で 6500K が標準とされています。また、印刷業界(DTP) では 5000K が基準とされています。6500K という数値は、ヨーロッパのどこかで計測した太陽光の平均色温度に由来しているそうです。5000Kの由来は人工光源モデルの話からしなくてはいけないので、また別の機会にでも。

 しかしハッキリ言って、こんな基準はどうでもいいことです。前途の通り人間の目は色温度を補正できるからです。そのためディスプレイの色温度設定は、輝度と全く同じく「相対的な色温度」が重要になってきます。つまり、室内照明に昼光色蛍光灯(6500K)を使っている人は 6500K、昼白色蛍光灯(5000K)を使っている人は 5000K に設定しましょう。

 もし、昼光色蛍光灯+6500K設定で「青いなー」、昼白色蛍光灯+5000K設定で「黄色いなー」と感じる人は、シーリングライトに使う2本の蛍光灯を、昼光色+昼白色にして、ディスプレイを5500K前後に設定することをおすすめします。また昼光色蛍光灯を使っていても、ライトカバー(白い半透明のやつ)や、反射光(壁や家具は暖色系が多い)、窓から入り込む日光 などの影響で色温度が下がります。さらに蛍光灯を長時間使っていくと、光がだんだん黄ばんできます。(昼光色蛍光灯を付けている我が家の部屋では5500K程度まで下がります。)そのため、昼光色蛍光灯の場合でも5500K前後に設定するのが良い場合も十分考えられます。

 最適な色温度が設定できているか調べるには、さきほどのデジカメチェックがそのまま使えます。写真に写ったディスプレイの表示内容が青白い場合、ディスプレイの色温度が高すぎる、赤かったら低すぎです。余談ですが、調整が終わった後、カメラを引いて部屋全体とディスプレイを同時に撮影してみてください。環境光とディスプレイ光の明るさ・白点色温度が一致しているため、画面をハメコミ合成したようなプロっぽい写真が撮れますよ。

■ 独断と偏見、そして希望的予測による 今後の動向...

 WUXGA(フルHD対応)のディスプレイが各社から出そろいました。今後、高解像度ワイド液晶ディスプレイ はどのように進化するのでしょうか?(2007年3月 執筆)

[ TN 汚染がどこまで広がるか? ]

 液晶ディスプレイ業界は価格競争が激しく、現在 5万円以下の液晶ディスプレイのほとんどが 低品質なTNパネルを採用しています。この低価格&低品質化 の動きは止まることなく、とうとうワイドディスプレイにまでTN化の波が押し寄せました。2007年3月現在、22インチワイドディスプレイまでが TNパネルに汚染されています。さらに、Windows Vista の登場により、メーカーやマスコミに煽られたローエンドユーザーが「安いワイドディスプレイ」を今よりも強く求めてくるでしょう。下手をすると数年以内に、24インチ前後を中心としたTNパネルのWUXGAディスプレイが登場してしまうかもしれません。

→ 2007.9 自己採点 : 汚染されてしまいましたね(苦笑)

[ AdobeRGB がみんなの手に ]

  近年、NTSC比90%以上の広い色域をカバーした液晶パネルモジュールが急増しています。広色域パネルは周知の通り既に多くの製品に採用されています。具体的に LG Display の26インチ H-IPS パネルは MITSUBISHI RDT261WH・NEC LCD2690WUXi・Acer AL2623Wに、同30インチが DELL 3007WFP-HC(不確定) に、Samsungの27インチ S-PVAパネルは DELL 2707WFP に搭載されています。 さらに LEDバックライトを使用し NTSC比 100%オーバーを達成した AUOの 20.1インチ(スクエア) A-MVAパネル を搭載した Samsung XL20 も登場しています。

 これらの広色域化も今後大きく加速していくことでしょう。ついこの前まで、AdobeRGB対応液晶ディスプレイはプロでも躊躇するほど高価なものでした。それが一気にコンシューマー向け製品まで降りてきたのは、技術の進歩にひたすら感謝する他ありません。AdobeRGB が普及することで、私たちは手軽にデジタルカメラやインクジェットプリンタの性能を引き出し、より自然に近い豊かな色を楽しむことが可能になりました。まともなカラーマネージメントができない Windows プラットホームの多くのアプリケーションも「sRGB帝国」の崩壊により、色管理に対応してくることが期待できます。

→ 2007.9 自己採点 : さらに広色域S-PVAパネルも加わり、I-O DATA LCD-MF241X、EIZO ColorEdge CG241W が登場しました。しかし Windowsの色管理は今のところあまり進展していません。

[ AUO に注目したい ]

 台湾 AUO と聞くと、LG Display や、Samsung よりも劣っているイメージがありました(後発ですし)が、近年の進歩には目を見張るものがあります。従来のAUOが生産している P-MVAパネルは、同じVA系である SHARP ASVパネルや、サムスン S-PVA と比べて視野角が狭いという弱点がありました。しかし、富士通から受け継いだMVAを独自に改良した「A-MVAパネル」の登場で、広い視野角・高コントラストを実現しました。

 また他社に先駆けて、LEDバックライトを用いたコンピュータ用ディスプレイパネルの開発にも成功しています。LEDバックライトを採用し、AdobeRGB対応をうたう Samsung SyncMaster XL20 は驚くべき事に AUOの A-MVAパネルを超例外的に採用しています。度重なった発売延期を考えると、パネルを自社開発していたが間に合わず、または技術不足により急遽AUOのパネルを使用したとも考えられます。

 もともと AUOのパネルは、凝視すると「サワサワ」した印象を受けますが、全体的にしっとりとした上品で謙虚な発色が個人的に好きでした。今後、このAUOがどのような進化を遂げるか非常に楽しみです。

→ 2007.9 自己採点 : 実際に製品に組み込まれた A-MVAパネルを見ると、視野角・コントラスト比の向上よりも、ギラギラノイズ・ザラザラノイズが劇的に改善されていました。半年前より、さらに AUO に惚れました。

[ クオリティ重視は26インチオーバーへシフト? ]

  最近、LG の 26インチ H-IPS、サムスンの 27インチ S-PVA、AUOの 26インチ A-MVA など高品質なワイド液晶パネルモジュールが登場しました。これらのパネルは今まで WUXGA で主流だった23インチ、もしくは24.1インチより一回り大きいものです。24インチ以下のパネルは、Apple Cinema Display 23" に搭載された LG S-IPSパネルのように逆に品質が落ちています。EIZO S2411W のサムスンパネルも低品質です。さらに23〜24.1インチクラスのWUXGA対応ディスプレイの値崩れも目立ちます。(DELL 2407WFPは一時 5.5万円まで下落、S2411W でさえ11万円台に突入しています。)これらのことから、WUXGA ディスプレイは購入しやすい 23"-24.1" バリュー帯と、品質を求める25"-27" パフォーマンス帯に分かれてくるかもしれません。

→ 2007.9 自己採点 : 「クオリティ重視」のディスプレイが出ないので分かりませんね・・・。

[ 画質優先派の最強本命 EIZO ColorEdge 30" !? ]

 先日開催された「PAGE2007」でEIZOが、ハードウェアキャリブレーションに対応した30インチワイド液晶ディスプレイを展示しており注目を集めました。HWキャリブレーションということは、ColorEdgeシリーズで出ることを意味します。S2411W と同じサムスン S-PVAパネルを搭載した 同シリーズのエントリーモデル:CE240W は、目が疲れる、視野角が狭い と大変不評でした。 しかし CG221 は60万円以上と現実的な価格ではありません。そんなジレンマを打破してくれると期待されているのがこの30インチ ColorEdge です。

 問題はこの30インチモデルが、上位のCGシリーズなのか、CEシリーズになるかです。S2411WやCE240Wは動画に特化されており、応答性能が良く・コントラスト比が高い PVAパネルを採用しました。特に24.1インチモデルはフルHD映像と相性がよいのも関係しています。一方30インチはWQXGA:2560 x 1600 px の高解像度を持ちます。これは、広いワークスペースが必要なデザイン・DTP業務等に必要とされるため、30インチモデルは再び静止画用の画質重視モデルに回帰すると思われます

 30インチで、かつ画質重視、広色域ブーム。これら3つの要素を実現するパネルが存在します。LG Display の LM300WQ1 です。このパネルは、300cd/m2、NTSC 92%、1000:1、GtG: 8ms という文句なしのスペックを誇ります。このコントラスト比の高さからいわゆる「H-IPSパネル」であると思われます。このパネルは既に DELL 3007WFP-HC に搭載されています。もしこのパネルで、ハードウェアキャリブレーション・ユニフォミティ補正機能、そしてEIZOの画像処理技術が加われば間違いなく液晶史上最強のディスプレイになることでしょう。(お値段も最強になりそうだが・・・) H-IPSパネルと、高品質な画像処理 によるディスプレイの性能は、すでに NEC LCD2690WUXi で証明済みです。 (個人的にはもちろん、NEC LCD3090WUXi でも大歓迎ですが。)

→ 2007.9 自己採点 : 各展示会で散々宣伝していた EIZO ColorEdge 30インチモデル はとうとう出ませんでした。かわりに24インチの CG241W が発表されましたが、私や多くの消費者の予想とは裏腹に、サムスン S-PVAパネルを採用してきました。これは恐らく、DELL 2407WFP-HC と同じパネルです。ColorEdge までこれでは、もうダメかも分かりませんね・・・。

 ただし半年前より良いニュースが1つだけあります。LG Display 社が、応答速度を 5ms(GtG) に向上し、色域を広げ NTSC比 102%をカバーし、輝度調整範囲を従来の2倍に改善し ダイナミックコントラスト比 3000:1 を持つ30インチ WQXGAパネル:LM300WQ5 をリリースしたことです。(従来品は 8ms、92%、1600:1) ぜひNECあたりで製品化してほしいですね。

■ 液晶ディスプレイに関する雑談

● 携帯電話のディスプレイ

 近年の携帯電話・PHSにはカラー液晶ディスプレイが搭載されています。中には、カラー液晶・白黒液晶・有機ELのサブディスプレイを持っている機種もあります。 このディスプレイはほとんどがLEDバックライトを採用しています。また駆動形式はほとんどTN方式ですが、デジタルテレビチューナー(通称ワンセグ)付き携帯電話の登場も相まって、SHARP製携帯電話を筆頭にVA方式パネルを採用した機種も徐々に増え始めています。さらに、NEC製 FOMA携帯電話:N904i では、3インチ 16:9 WVGA (854 x 480 px.) ・輝度 400 cd/m2 ・コントラスト比 800:1・色域 NTSC比 72% と、まるでコンピュータ用液晶ディスプレイのカタログを見ているようなハイスペックな液晶ディスプレイを積んでいます。

 ここで、私の持っている、富士通製 FOMA携帯電話 : F900iT を計測してみました。最大輝度時 170cd/m2・最低輝度時 16cd/m2、ブラックレベルはそれぞれ 0.41cd/m2・0.04/cdm2で、コントラスト比はおよそ 400:1 と、なかなか優秀な結果が出ました。特筆すべきは輝度の調整範囲で、バックライト制御のみで 10:1 の輝度レンジを実現しています。一般的な WUXGA ディスプレイに置き換えると、なんと 40cd/m2 前後まで輝度が落とせることになります。この極めて広い輝度レンジの実現はLEDによるものです。 ちなみに最大輝度の 170cd/m2 という明るさは、屋外使用を考えるとかなり暗いと言えます。モバイルデバイス用液晶パネルモジュールも、炎天下での視認性を確保するために最大輝度の向上、反射・透過切換型パネルの開発を推し進めています。

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