WUXGA対応高解像度ワイド液晶ディスプレイ選び

■ MITSUBISHI VISEO MDT241WG 特集 ■

「高解像度ワイド液晶ディスプレイ選び」のなかで最も注目されているディスプレイのひとつ
MITSUBISHI VISEO MDT241WG に関する話題をこの専用ページにて特集します

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■ 目次

■ 留意事項(特に購入前の方は必読)

 MDT241WG 初期出荷分には多数のバグが報告されています。購入を検討している方はよく確認してください。またこのセクションの情報は、ネットのコミュニティへの投稿内容を元にしています。真偽確認はされていないのでご注意下さい。

[ HDMI 周りの不都合について ] → ファームウェアアップデート修理により改善した模様

 MDT241WG 初回出荷分 ユーザーから、HDMI 周りのトラブルが多数報告されています。HDMI 経由の映像が突然映らなくなったり、同期がずれてノイズが載ったり、映像が伸びてしまうなどの症状が確認されています。また、HDMI から他の入力ソースに切換ができなくなるといったシステムレベルのトラブルも発生しているようです。

 このトラブルは メーカーも確認しているようで、初回出荷分には「本機をHDMI機器(映像機器やゲーム機器)に接続した場合に機器との通信が不安定になることで、まれに映像、もしくは、音声が出ないことがあります。 その場合は、本機の前面の電源スイッチ、もしくは、背面の主電源スイッチにて 電源を入れ直してください」と書かれた一枚紙が同梱されているそうです。購入者によると、この注意書きは明らかに家庭用のプリンタで印刷したような簡易的なものだそうです。

 試作機でも入力ソースの切換に非常に時間がかかったり、HDMI 映像にノイズが載るなどの不都合が確認されていたため、おそらくファームウェアの追い込み(バグ潰し)が間に合わなかったと思われます。

[ 重要:スルーモードの仕様変更について ] → 仕様とのこと

 MDT241WG の特徴の一つである遅延短縮機能「スルーモード」ですが、製品版ではスルーモード利用時は強制フル表示になります。試作展示機では、スルーモードでもアスペクト比を維持できていました。憶測ですが、この試作機にはスルーモードが実装されていなかったと考えられます。ディスプレイに入力された映像は、様々な映像処理を施した後、最終的に「1920 x 1200 x 3 」フォーマットに整えられで液晶パネルモジュールに送られます。 スルーモードはこの映像処理をバイパスして遅延を最小限にする機能ですので、フル表示になってしまうのは原理を考えれば納得は出来るのですが、展示機ではできたことが製品版で突然出来なくなっていること大きな不満が出ています。

[ そのほかの報告されている不都合(バグ・相性問題)] → 一部はファームウェアアップデート修理により改善した模様

※ HDMI 機器との接続時、切換に時間がかかるのは私の NEC MultiSync LCD2690WUXi でも確認しています。おそらく HDCPの認証、対応フォーマット等の確認、同期などの処理に、他の入力端子より時間がかかるためだと思われます。規格上の制約はよいのですが、「NO SIGNAL」と表示され、省電力モードに一回入ってから映り出すのは何とかして欲しいものです。

[ 仕様と判明した既知の不都合 ] (修理・改善対象にはなりません)

 WUXGAマルチメディア難民の長き戦いを終わらせてくれると期待された MITSUBISHI VISEO MDT241WG ですが、発売と同時に購入者から以上の深刻な不都合がいくつも報告されています。どの不都合も組み込みソフトウェア(ファームウェア)のバグによるものでしょう。試作展示機の段階ですでに多くの不都合が確認されていたことから、開発が予定より遅れ十分な検証・改善(いわゆるバグ潰し)が出来なかったと思われます。これは製品に同梱されたペラ紙(家庭用プリンタで印刷したような、HDMI接続に不備があることを記した注意書き)が物語っています。個人的には明らかに発売を延期して製品の品質向上を最優先すべきだったと考えます。この強行的とも呼べる無理な発売開始は、以下のような理由があると考えられます。

  1. スクエアエニックスのイベントや、パンフレット等で大々的に「2007年6月1日発売」をアピールしてしまったこと。
  2. ナナオが、MDT241WG と酷似したコンセプトを持つ「HD2451W」を発表したため、なるべく早く発売し販売数を確保したかった

[ 不都合に関する修理(ファームウェアアップデート)を開始 ]

 三菱ディスプレイが、HDMIやPIP機能に関する一連の不良動作を改善した新ファームウェアへの書き換えサービスを開始しています。 しかし報告されているトラブルが全て解決されたとは限らないので、購入を検討している方はもうしばらく待った方が良いかもしれません。

連絡先:
三菱電機システムサービス株式会社 修理相談窓口
フリーダイアル 0120-08-1460
平日 AM9時〜12時 および 13時〜17時まで受付(土・日・祝日除く)

[ ニュース ]

三菱ディスプレイ MDT241WG 製品ページが更新されました。以前よりも「HDゲーマー向け最強ディスプレイ」であることを強くアピールしています。また開発ストーリーとして、MDT241WG のハードウェア設計、デザイン設計 者のインタビュー記事が掲載されています。はい、みなさーん、MDT241WG のボディーをピッカピカにしたのはこのお姉さんですよー!! という煽りはさておき、前途の大量バグ問題がまだ解決されていない時に、このような記事を掲載することにやや疑問と不快感を持ちます。どことなく、S2411W ドット欠け問題と ナナオディスプレイ説明会 と似たものを感じます・・・。

■ はじめに - MITSUBISHI VISEO MDT241WG について

[ 製品の特徴 ]

  1. 業界初HDMI端子2系統を搭載 ( HDMI 1.1 準拠 )
  2. HDMI端子から入力された音声を光デジタル出力できる S/PDIF端子(オプティカル音声端子)を搭載(ステレオ 2ch ソースのみ)
  3. コンポーネント端子、S-Video端子、コンポジット端子を搭載し、アナログでもD1(480i) から D5 (1080p) までの多彩な映像ソース入力が可能
  4. 16:9 スクイーズソースに対応。DVDプレーヤや SCEI PlayStation 2Nintendo Wii などの映像出力を正常に表示可能。
  5. 各種映像ソースのアスペクト比を、無変更・自動判定のほかに、手動で 4:3、もしくは 16:9 に設定可能
  6. 各種映像ソースで表示範囲を、100%( DbD : ドットバイドット ), 98%(2%カット) , 95%(5%カット) , 93%(7%カット) に設定可能。
  7. バックライトの高速点滅駆動、黒画面挿入、高度なオーバードライブ駆動による動画ブレ抑制技術「MP ENGINE」を搭載
    液晶ディスプレイで問題となる「ブレ」を大幅に低減し、業界トップクラスの MPRT : 10ms を実現
  8. 推奨解像度以外の映像ソース表示時に、「フル」、「アスペクト」、「リアル」、さらに「2xズーム」の4モードを選択可能
  9. 各種映像処理をバイパスし、表示遅延を最小限にする「スルーモード」を搭載。アクションゲームや、いわゆる「音ゲー」等を快適にプレイ可能
  10. 24.1 インチ、コントラスト比 1000:1 、 応答速度 6ms 、視野角 178度 のスペックを持つ高品位A-MVAパネルを採用
  11. 映像ソースや用途によって簡単に表示設定が変更できる「DV MODE」を搭載
  12. 目への負荷・疲労を低減させる 輝度制御技術「IV MODE」を搭載
  13. 複数の映像ソースを親子画面で同時表示できる PIP 機能を搭載
  14. 5W + 5W の内蔵スピーカーを搭載。サラウンド回路内蔵で、臨場感ある音が楽しめる
  15. 滑らかで豊かな階調表現を実現する「10ビットガンマ調整機能」を搭載
  16. コンピュータ用に HDCP に対応した DVI-D端子と、ミニ D-Sub 15ピン端子の2系統入力を搭載
  17. φ3.5mm ステレオミニジャック音声出力端子ヘッドホン端子 を搭載
  18. ダブルヒンジスタンドを採用したことで、ディスプレイの柔軟な位置決定が可能
  19. 200 x 100 mm VESA マウント対応
  20. Windows Vista Premium ロゴを取得

[ 出ている不満・要望 ]

[ ユーザーからでているTIPS ]

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■ インプレッション(仮)

※ このセクションは、発売前に試作機を触ってみた印象をレポートする暫定的な記事です。そのため、十分な検証をしていませんし、完成品と動作が異なる場合があります。

[ 外観 ]

  何かと心配されていた「黒色で光沢のあるピアノ調仕上げ」という自称高級感あるデザインですが、個人的には史上最悪の質感です。遠目で明らかに安物ののプラスチックであることがわかり、下品に光り輝いていました。10年以上前、ダイソーという100円均一ショップができた当時の、粗悪でペコペコしたプラスチックの入れ物を思い出します。(いまではつや消しのポリプロピレン製CDケース、レターケースなど質感のおしゃれな商品がそろっています。)ベゼルの光沢が不評だった I-O DATA LCD-TV241X ですら、MDT241WG より上品な光沢です。「見た目」に関しては人それぞれの好みに極めて大きく依存する要素なので、何とも言えませんが、個人的にこの製品を部屋に置きたくありません・・・。

 展示機では、すでにホコリや指紋がベタベタついており、非常にみすぼらしい姿でした。また、このボディーは擦り傷に非常に弱そうと感じました。掃除も含め、扱いには注意が必要でしょう。

[ スピーカ ]

 MDT241WG にはスピーカーが内蔵されています。しかもピンプラグ (RCA)、ステレオミニプラグ、HDMIからのデジタル音声 という豊富な入力を思っています。しかも、HDMI経由の音声を光デジタル出力する S/PDIF端子を装備している力の入れ様。 音楽を高音質で楽しんだり、ゲームや映画を迫力ある音で視聴したい人は、高品位なスピーカーを利用しているでしょうが、スペース的な問題や、デスクトップの配線がごちゃごちゃしてしまうのが嫌で ディスプレイ内蔵スピーカーを愛用しているユーザも少なくありません。 さて、そのスピーカーの音ですが、とりあえず音量はデカいです。音量をMAXにしたところ、かなり大音量が出て売り場にいるお客さんの視線を集めてしまいました。(非常にやかましい店内ですら。) 音質はやはり「シャリシャリ系」で、中音域、低音域が不足しているように感じました。

[ パネル ]

 MDT241WG は、AUO の A-MVAパネルが搭載されていると思われます。 BenQ FP241WJ/WZ のレビューで紹介したとおり、パネルがやや光沢感を持っています。斜めからみると照明の光を反射し画面が見えなくなります。 ですが、いわゆるグレアパネルとは全く違う光沢感なので、正面から見たときに支障を来すものではないでしょう。ギラギラ感はほとんどなく従来のAUOパネルに見られたパネルの「ザワザワ」した感じも大きく改善されています。(サワサワ感、ザラザラ感。) 白一色を表示したとき、右端がやや黄ばんでいましたが許容範囲内でしょう。(シビアなグラフィックデザイン用途ではNG。)

 視野角は、横方向に関しては全く問題ないレベルです。上下方向で肌の色が吹っ飛ぶのは相変わらずですが、VA系パネルとしては十分健闘していると言えるでしょう。

[ 明るさ ]

 最大輝度にすると他のディスプレイよりも明るく、眩しいと感じました。 店舗でこれだけ眩しいと感じるなら、一般家庭ではとんでもないことになるでしょう・・・。最低輝度の明るさは他のディスプレイと比べて、特に明るいとは感じませんでした。 明るさに限っては、お店での印象は全く役に立たないので、何とも言えません。

[ 表示質感 ]

  三菱らしい かなりビビッドな絵作りです。不自然なまでの鮮やかさは、EIZO S2411W を連想させましたが、実際に S2411W を見てみると MDT241WG より遙かに「しっとり」していました。MDT241WG はかなり個性派な絵を表示するようです。また、全体的にかなりテレビっぽくSHARP AQUOS のような絵作りに感じました。(全体的にハイキーで、やや白飛び気味) 絵のキャラクタは、VAパネルで典型的な のっぺり・べっちゃりし質感です。たとえて言えば、プラスチックの板にアクリル絵の具をぶちまけた、と言ったところでしょうか。しかし、この質感は「デメリット」ではなく、あくまで一つの「個性」です。逆に IPSパネルは、水彩絵の具のような透明感、立体感、みずみずしい質感が特徴です。しかしこんな特徴は調整でどうにでもなります。あまり「ああだ、こうだ」と気にする必要はないでしょう。

[ MP ENZINE ]

 "動画ブレ低減機能:MP EINZINE について" の章を参照。 ちなみに、MP ENGINE のレベルを上げていくと輝度がかなり低下します。

[ モード切換 ]

 MDT241WG には従来の三菱ディスプレイ同様に「DVモード」という用途別のモードがいくつか用意されています。展示機に入力されていた映像の動きが激しかったため、各モードの特徴がなかなかつかめませんでしたが、ムービーモードにすると中間色の明るさが下がり、全体的に落ち着いた映像になりました。また、各モードで色調整や、MPモードの設定が保持されるので、用途によって切り替えて使えば便利でしょう。

[ そのほか気づいたこと ] (プロトタイプ使用時)

[ 総評 ]

 MDT241WG は、もはや異常なまでの幅広い入力端子を持ち、各映像を忠実に再現できる夢の様なディスプレイです。その驚異的なマルチメディア互換性を除くと、 可もなく不可もないディスプレイです(※)。この表現は、一般的にどちらかというとネガティブな印象を与えますが、WUXGAマルチメディア難民問題を考えると「当たり前のことを、当たり前にできるディスプレイ」は全く存在せず、いかに貴重で、待ち望まれていた製品なのかわかると思います。

※ RDT261WH のような画質のアドバンテージは MDT241WG にはないと思います。

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■ MDT241WG の パネル・画質について

★ ディスプレイの色再現性を評価する前に...


▲ これらの画像が全て同じように見えるのが正常です → 正常に表示された例はコチラ

 ディスプレイの「色」について正しく検証するには、色に関する知識と、ディスプレイおよびコンピュータの適切な設定、そして高度なソフトウェア・ハードウェアが必要です。もし上記の画像の色が明らかにおかしく表示されてしまう場合、残念ながらあなたが見ている環境では、カラーマネージメントシステムは一切働いていません。その場合、色を適正に評価する資格はありません

※ このテストは、あなたが使っているシステムが画像に埋め込まれたメタデータを解釈し色に反映するか調べるためのものです。ですからディスプレイの性能や設定、キャリブレーション実行の有無に一切依存しません。 この比較画像について興味を持った方は、ICCInternational Color Consortium国際色協会)のウェブサイトにある「Is Your System ICC Version 4 Ready?」でより詳細なテストができます。ちなみにCMSが正常に動作する環境ではこのように表示されます

[ AUO AMVA について ]

 同社の RDT261WH は、LG Display 社の H-IPSパネル(IPS系)が使われています。一方、この MDT241WG は AU Optronics : AUO の AMVAパネル (VA系) を採用しています。 A-MVA とは、Advanced Multidomain Vertical Alignment の略で、富士通から受け継いだ MVA 技術をさらに進化したものです。AMVA は、AUO P-MVA ( MVA-P ) と比べ視野角が大幅に改善されました。

 パネル表面は従来よりもツルツルになっており、液晶保護シート・パネルを取り付けたような微光沢を放っています。特に斜めから画面を見たときにアクリルパネルような光の反射を感じます。メーカーが強くアピールする通り、視野角が広がっていて、サムスン S-PVA に追いついてきました。横方向から見る限りは非常に優秀です。上下から見ると肌色などが白く吹っ飛んでしまうのは相変わらずですが、実用では全く問題ないレベルになったと言えるでしょう。(ディスプレイを真横から見る人はいません。) ちなみに従来の P-MVAパネルは 横から見ると画面全体が白っぽくなります。

 そして個人的に大きく評価したいのが、いわゆる「ギラギラ」「ツブツブ」です。サムスン S-PVAパネルと比べると桁違いに少ないものの、従来の AUO PMVA パネルには 虹色のノイズが見られました。しかし AMVAパネルには虹色ノイズがほとんど見あたりません。また、P-MVAパネルは 例えば画面に白一色を表示したときに、サワサワした印象(砂壁を見ているような粒状感)がありましたが、A-MVAパネルでは大幅に改善されています。パネル表面を凝視すると、1つ1つのピクセルがキレイに、かつギッシリ詰まっている印象を受けます。元々、控えめで味付けをしない素直な発色も相まって、個人的には非常に目に優しいパネルだと思います

 H-IPS から AMVA へのパネル変更はほとんどの消費者にとってメリットの方が大きいでしょう。(価格、動画性能、黒の締まり 等) また、AUOのパネルは元々品質が安定しているのですが、どうやら A-MVAパネルは さらにドット欠け発生確率が低いようです。

[ 色域について ]

MDT241WG ガマット   MDT241WG HD2451W 色域比較
▲ MITSUBISHI VISEO MDT241WG ガマット と 他社製品との比較

 MDT241WG はごく一般的な sRGB 準拠液晶ディスプレイの色域をもっています。sRGBカラースペースと比べ、青の色純度が不足しており、やや緑の色純度が高いようです。近年、MITSUBISHI RDT261WH や NEC LCD2690WUXi などの広色域ディスプレイが登場していますが、色管理がほとんどできない一般的な Windows 環境・ユーザーには sRGB色空間に準拠していた方がメリットが多いと思います。 目立ったクセもありませんし、全く問題ないでしょう。

[ 階調再現性について ]

 RDT261WH では一部のモードでグラデーション表示時にトーンジャンプ(マッハバンド)が発生しますが、MDT241WG でも同様に発生するようです。画像をいじるときはスタンダードモードで作業すると良いと思います。また、1080i/p などの非ネイティブ解像度を表示する際、フルモード以外のモードでトーンジャンプが発生するとのことです。

  スタンダード テキスト フォト sRGB ゲーム ムービー IV MODE スルーモード
ネイティブ解像度 (WUXGA) 正常 正常 正常 正常 異常 異常 異常 異常
フル表示 正常 正常 正常 正常 異常 異常 異常 異常
1:1、2X、アスペクト比 異常 異常 異常 異常 異常 異常 異常 異常

こりゃお見事・・・。

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■ マルチメディア互換性について

[ 正常動作機種 ]

● ビデオゲーム機

● AV機器

● その他の機器

[ 不都合発生機種 ]

● ビデオゲーム機

● AV機器

● その他機器

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■ 各機能・モードについて

[ PiP : Picture in Picture 機能について ]

 PiP 機能とは、画面の一部に別の映像ソースを小さいウィンドウで表示する機能です。このときメインに表示している画面を親画面、小窓に表示される画面を子画面 と呼びます。 合成処理はディスプレイ上で行われるため、コンピュータに負荷をかけないのもメリットです。また、MDT241WG 内蔵スピーカーから出る音声を 子画面のソースに切り替えることもできるため、親画面にコンピュータの画面を表示し作業しつつ、子画面にチューナーの信号を映しテレビを見る といった事ができます。MDT241WG の PIP 機能は、親画面と子画面の組み合わせが一部制限されています。可能な組み合わせは以下の通りです。

親画面\子画面 D-SUB DVI-D HDMI1 HDMI2 VIDEO1 VIDEO2
mini D-SUB 15pin - ×
DVI-D - × ×
HDMI 1 × - ×
HDMI 2 × × -
VIDEO 1 (Component) × -
VIDEO 2 (Sep/Cmps) -
※ Component : D端子
※ Sep/Cmps : S端子・コンポジット端子(排他利用)
※ 子画面のウィンドウ幅は、400 pixel、520 pixel、640 pixel から選択可能 (高さはソースのアスペクト比により変動)
※ 子画面の位置は、本体のカーソルで自由に配置可能。

 以上のことから、MDT241WG は、アナログのRGB/YUV映像信号用エンジン1ヶ、デジタルRGB/YUV映像信号用エンジン1ヶ、アナログY/C映像信号用エンジン1ヶ(Y/C分離回路付)の3系統の画像処理エンジンを搭載していると思われます。(簡単に例えると、地デジチューナーとアナログチューナーが1系統ずつある W録画 HDDレコーダーのようなものと思ってください。→ 地デジ2番組 or アナログ2番組の同時録画は不可能 )

[ 遅延短縮機能:スルーモードについて ]

 MDT241WG には、各種映像処理をバイパスして表示遅延を最小限にする「スルーモード」という機能が搭載されています。そもそも液晶ディスプレイは、入力された信号をそのまま表示しているわけではなく、途中で信号を整えたり(同期、位相、ジッタ、減衰 などなど)、色を調整したり、解像度の調整、スケーリング 等の高度な処理を行っています。 そのため、信号が入力されてから実際に画面に表示されてしまうまでどうしても時間がかかってしまうのです。この遅延は一般的なコンピュータ操作にほとんど影響を与えませんが、時間に対して非常にシビアなならなければならないアクションゲーム、音楽ゲーム(音ゲー) などに支障を来すことがあります。

 MDT241WG は通常時、遅延が約2フレーム分、つまり 2/60秒 = 33 ms あります。スルーモード利用時はこれが 1フレーム、つまり 17 ms という非常に低いレイテンシーを発揮します。一般的な液晶テレビは、遅延が 50 〜 200 ms と言われています。これらと比べても、MDT241WG は通常時でも高速なディスプレイだと言えます。

 しかしスルーモードには1つ弱点があります。ほとんどの映像処理をバイパスしてしまうため、あらゆる映像ソースをフル表示してしまいます。16:9 は 16:10 になり少し縦のびします。 4:3 ソースは激しく横にのびます。スルーモードはこれらのトレードオフを考えて使い分けないといけません。使用者によると、アクションゲームプレイ時にスルーモードは非常に大きな効果を発揮するとのことです。また前途の通り、MDT241WG はもともとレイテンシーの低いディスプレイであることも大きなポイントでしょう。

(補足) ちなみに液晶ディスプレイは遅延を1フレーム分より短くすることは理論上出来ません。液晶ディスプレイを含め、デジタル映像表示機器は映像が1画面分(1フレー分)受信できて初めて表示を行います。(=フレームバッファ法) 一方、CRTに代表される従来のアナログ映像表示機器は、今受信している映像信号をそのまま出力しているため遅延は発生しません。これらの仕組みを例えると、水道水をヤカンに入れるとき、アナログディスプレイは蛇口から出る水を直接ヤカンに入れられますが、デジタルディスプレイは容器に水をためて、それがいっぱいになって初めてヤカンにまとめて流し込む と言ったところです。また、デジタルテレビ放送においては、さらに MPEG2 のデコード処理などが加わり、送信側(テレビ局)と受信側(テレビ)の2カ所それぞれで遅延が発生するため、アナログ放送と比べ 秒レベルの大幅な遅延が発生してしまいます。(そのためにデジタル放送で時報が流れないのは有名な話です。)

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■ 動画ブレ低減機能 : MP ENGINE について

[ MP ENGINE のシステム概要 ]

 MDT241WG に搭載されている動画ブレ抑制技術「MP ENGINE」は、スキャンライン型バックライト消灯同期型黒画面挿入 と呼ばれる技術を使っています。これは、画面を縦に複数のエリアに分割したうちの1エリアを真っ黒に表示し、さらにそのエリアを順番に切り替えていくことで、黒い帯が画面上を縦に走査しているように見せます。この手法は、CRTとは全く逆の絵をつく出します。CRTは1つの電子銃からスキャンラインで電子を放射し表示を行うので、極めて短い時間でみれば、画面の一部のみが点灯しているからです。( MDT241WG の場合は画面の一部のみが消灯している。)

MPENZINE1MPENZINE2MPENZINE3 ・・・

 FP241WZ / FP241VW はバックライトの点滅のみで実現されていますが、MDT241WG の場合、バックライトの消灯と同期して液晶も黒に駆動させているようです。三菱電機の資料によると、1フレーム(1/60sec.)の間に数回黒挿入範囲が更新されることから、液晶パネルを 60Hz 以上で高速駆動させていることは間違いありません。しかしこの技術は、主にハイエンド液晶TVで言われる、黒挿入(日立のスーパーインパルス等)・倍速駆動(120Hz 駆動)とは全く異なる技術です。特に後者の倍速駆動は、極めて高度な画像処理が必要となるため10万円強で販売される MDT241WG に求めるのはあまりに酷です。

[ 黒挿入でブレが低減されるメカニズム ]

※ このセクションは、十分な科学的調査をせずに執筆しているため、内容が不正確である可能性があります。

 なぜ黒い画面を挟むだけで「ブレ」を感じなくなるか疑問に思う方も多いでしょう。これは 機械的または光学的な理由ではなく、人間の「視覚」の特性を利用した技術です。 実は人間の視覚は、目から入った映像をそのまま脳に送るのではなく、単位時間前の映像との「差分」を送信します。これはちょうど MPEG 等の動画圧縮アルゴリズムと似ていて、動いた部分のみが脳に送られ更新されています。 ですから、もし目に入る映像が常に一定だと我々は視界を失います。(差分がないため、脳になにも信号が伝えられず、光をみているのに真っ暗と感じてしまう。)そのような現象を防ぐために、人の目は無意識に小刻みに動いています。(緊張したときに目がより細かく動くのは、周りの状況を理解するために、脳がより多くの情報を得ようとするからだと言われています。)

 ところで、ブラウン管ディスプレイは唯一の発光源である「電子銃」をものすごい速さで画面上を走査させ像を描いています。つまり、極めて短い時間であればCRTの光っている部分は画面の1点のみです。もう少し時間を長くすると帯状に見えます。そしてもっとマクロに見ると画面は点滅しているように見えます。それでも我々が画面全体が光っていると認知するのは光の「残像」が残るためです。残像をシャットアウトする、例えば画面の前で手を激しく上下させると、手の動きがカクカク動くのが確認できるでしょう。

 このように常時ゼロ電圧(消灯)状態で、瞬間的に電流が流れる(発光する)ことを「インパルス方式」と呼びます。CRTはめまぐるしく点滅しているため、我々の目は常に画面全体が変化していると認知し、それを脳に伝えます。前途の視覚特性を考えなくても、インパルス方式の描写が目に"刺激的"であるのは容易に想像できます。例えば、ずっと光っている電球を見ても私たちは何とも思いませんが、暗闇で突然カメラのフラッシュが光ったらビックリします。なごやかな音楽を聴きながらうとうとしているとき、急に曲が盛り上がり大音量のシンバルが鳴ると目が覚めます。これと同じ原理でCRTは人間の目を「常にびっくりさせている」わけです。

 一方、液晶ディスプレイは全ピクセルが常に光っている「ホールド方式」と呼ばれるディスプレイです。液晶ディスプレイでは、自然界同様、動いた部分だけの光量が変化し認知されるため「目に優しい」とされてきました。しかし液晶ディスプレイ上の動きは、たいてい 1/60 秒おきに非連続的に変化します。(これを離散的変化と言います。)人が走る姿をディスプレイで見るとき、1/60秒ごとに人が細かく瞬間移動するという自然界ではあり得ない現象が起き、これをヒトは「ブレ」として認知します。

 液晶ディスプレイがなぜ動画に弱いかと聞いたとき、ほとんどの人は「液晶分子の応答速度が遅いから」と答えるでしょう。もちろんこれは正解ですが、それはもはや過去の話です。例えば応答速度が 5ms の液晶ディスプレイであれば液晶分子が駆動するまでの時間はわずか 1/200 秒です。こんな短い時間が人間に認知出来るわけがありません。 液晶ディスプレイが動画に弱い最も大きな原因は、液晶ディスプレイがホールド方式だからなのです。実は応答速度が 0ms の液晶ディスプレイを用意しても我々は「動画ブレ」 を感じてしまうのです。

 そこで液晶ディスプレイの動画ブレを低減するため、近年2つのアプローチが取られてきました。1つめは、フレームとフレームの間に黒画面を挿入することです。これは先ほどのべたインパルス方式であるCRTをシミュレートしたものです。しかしこれは「チラツキ」の原因となり眼精疲労の原因になりかねません。そこで近年主流になりつつあるのが「フレーム補完による倍速駆動」です。これは「倍速駆動」、「120Hz駆動」などの名称ですでに実用化されている技術で、フレームと次のフレームを比較し、その差から極めて高度な計算により動きを予測し、中間フレームを作り出してしまおうという手法です。すると動画さんは、いぜんより2倍、我々の目に「私は動いていますよ!ほらここ、変わってるでしょ?」ということをアピールできます。動きを認知しやすくすることで、動画ブレを低減させることができるのです。

[ MP ENGINE の使用感・効果 ]

 MDT241WG と FP241WZ / FP241VW を見比べてみると、どちらも明るい静止画を表示すると Level1(最も弱い動作)でもチラツキをハッキリと認識できます。しかし、MDT241WG は動きの激しい映像だとチラツキがほとんど気にならず、歯切れの良い映像になります特に動きが激しいアクションゲームや速いスタッフスクロール等では絶大な効果を発揮します。また、比較的暗い場面では MP ENGINE を最大レベルで使用してもチラツキを感じませんでした。しかし、映像の動きによってときどき動きに「不自然さ」を感じる事がありました。一方、BenQ FP241WZ は常にチラついています。 またチラツキ方も、寿命が近づいた蛍光灯を見ているようなあからさまな点滅に感じられます。

今回、2製品の黒挿入機能をもったディスプレイを見ましたが、共通して以下のような事が言えます。

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■ 関連情報

[ RDT261WH との比較 ]

  MDT241WG RDT261WH LCD2690WUXi (参考)
ドットピッチ 0.270 mm
( 21.1" UXGA と同等 )
0.287 mm 0.287 mm
応答速度 6 ms 7.5 ms 6.5 ms
液晶駆動方式 VA ( Samsung ) IPS ( LG Display ) IPS ( LG Display )
視野角 左右:十分実用的
上下:やや狭い
全方向に広い 全方向に広い
色域 NTSC比 72% NTSC比 92% NTSC 91%
表示質感 のっぺり しっとり・立体的 しっとり・立体的
SPEC最大輝度 500 cd/m2 480 cd/m2 400 cd/m2
標準最低輝度 150 cd/m2 (※1) 140 cd/m2 (※1) 150 cd/m2
ネイティブ最低輝度 190 cd/m2
最低輝度時コントラスト比 620 : 1
最大輝度時コントラスト比 630 : 1
SPEC最大コントラスト比 1000 : 1 750 : 1 800 : 1
最小ブラックレベル 0.24 cd/m2 0.24 cd/m2
※1 : 三菱ディスプレイ 公式情報
※ LCD2690WUXi のデータはハードウェアキャリブレーション時のもの

[ EIZO HD2451W との比較 ]

 MDT241WG 発売目前にして、EIZO から MDT241WG と酷似したコンセプトを持った「FlexScan HD2451W」が発表されました。 マルチメディア互換性(入力の豊富さ)はほぼ互角で、あとは細かい機能や仕様の差しか違いがありません。ただし、HD2451W は S2410W、S2411W と同じサムスン S-PVAパネルを採用しています。 このパネルはご存じの通り、定点ドット欠け問題を引き起こし、ギラギラノイズの酷さから目潰しパネル・ムスカパネル と呼ばれる曰く付きのパネルです。S2411W の画面を凝視しても何とも思わない人は購入を検討しても良いと思います。

 ただし、MDT241WG は一般販売され、発売前の5/24時点で12万円半ばで予約購入することができますが、HD2451W は EIZOの直営ストア「EIZO Direct」でしか購入できません。直営店限定発売には、様々な「大人の事情」があるのでしょうが、我々消費者にとって定価でしか購入できないのは大きなデメリットになるでしょう。また、一部の量販店が実施している「ドット欠け交換保証サービス」が利用できない事も、良く思わないユーザーが居ると思います。

[ 関連リンク ]

[ 用語解説 ]

■ スクイーズ : Squeeze
480i/480p 映像、いわゆる「SD映像」は、720 x 480 ピクセルと定義されています。このSD規格で 16:9 映像を記録するときに、縦横比が異なるため工夫が必要になってきます。
レターボックスSDフォーマットの幅に合わせるように画像を縮小し、上下に空いた余白を黒で塗りつぶして収録する方法を「レターボックス」といいます。(名前の由来は見た目で、外人にはこの長方形が郵便受けに見えたそうです。^^;) アスペクト比が保持されるため、特別な処理なくても正常に見ることが出来ます。しかし 上下にスペースを空けている分、全体の情報量が減少するという問題があります。レターボックスは、16:9 で制作された映像をテレビ放送するときによく用いられます。
ワイドテレビでレターボックス映像をみると、さらに左右に余白が出来てしまうため、上下左右に余白のある「額縁表示」になってしまいます。そのためワイドテレビはレターボックス映像を拡大して全体表示する機能が備わっています。 レターボックス映像を出力する機器・ソフトには 【16:9 LB】または【LB】というマークがついています。
また、レターボックスに対応したS端子を「S2端子」と呼びます。
スクイーズ一方、アスペクト比を無視し、16:9映像を ムリヤリ4:3の枠に詰め込んでしまう方法を「スクイーズ」といいます。このとき映像は当然縦長になります。スクイーズ映像を表示するときは、収録時とは逆に圧縮された横を引き延ばして元に戻してやる必要があります。もしこの機能が無い場合、4:3のテレビではいわゆる「フル表示」になり、縦長の(横が潰れた)映像になってしまいます。スクイーズはレターボックスと比べ枠全体を利用するため、情報量を最大限に記録することが出来るため、DVD Videoや、ビデオゲーム機、デジタルテレビ放送などに用いられています。
スクイーズに対応したS端子を「S1端子」と呼びます。また、これとは別に映像信号に識別信号を畳み込む方法を「ID-1」と言います。
ちなみに、日本国内で使われている「D端子」は 4:3 or 16:9 を含めた各種識別信号を通信できる機構を最初から持っているため、D端子を持つ機器なら基本的にスクイーズ対応と考えて良いでしょう。
レターボックス 拡大 スクイーズ 拡大
▲ 左がレターボックス、右がスクイーズ : 特に文字の解像度が大きく異なっている。

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■ そのほかの話題

[ ここでなぜかNECの宣伝 ]

LCD2690WUXi スクイーズ 16:9 MITSUBISHI VISEO MDT241WG の最大の強みは、D1/D2 ( 480i/480p ) フォーマットの、4:3・スクイーズ16:9 映像を正しいアスペクト比で表現できる点と言えます。(ほとんどのディスプレイは 3:2 で表示してしまいます。) でも実は、NEC の LCD2690WUXi、LCD2490WUXi は 4:3・スクイーズ16:9 フォーマットに対応できます。

 この画像は、PlayStation 2 と LCD2690WUXi をコンポーネント接続してプレイしている「ワンダと巨像」というゲームソフトの画面です。このソフトはプログレッシブ出力(480p)に対応しており、ワイド出力にも対応しています。NEC 90シリーズはシンクオングリーン( Sync on Green , SOG ) に対応しているのでもちろん映すことが出来ます。

 LCD2690WUXi / LCD2490WUXi がスクイーズソースを正常に表示できるのには、あるカラクリがあります。一般的な液晶ディスプレイで、最適解像度未満の映像を表示する際、1:1(原寸・ドットバイドット・DbD)、縦横比拡大(アスペクト比保持拡大)、フル という3つのモードが用意されていますが、NEC の90シリーズにはこれらに加え「カスタム」というモードが用意されています。

 カスタムモードでは、映像ソースの 横の幅・縦の幅・横の位置・縦の位置・横の拡大率・ 縦の拡大率 を全て独立して手動指定することができます。 この機能を利用して、720 x 480 ピクセルで入力された画像を、853 x 480 ピクセルにアサインしてあげれば 16:9 で映像を表示することが可能です。また、ビデオゲームではオーバースキャン方式のTVに配慮して上下左右大きな余白を設けている場合が多いですが、幅と位置を指定してやることで余白を切り取ることができます

 さらに、ビデオゲームでは主に同期の関係で映像の位相がずれることがあります。(たとえば画面が真ん中より左に寄っている、下に寄っている等)これも、同様に手動で画像の開始位置を指定してあげれば表示範囲を補正することができます。 つまり、LCD2690WUXi 本体内で アスペクト比補正、クロップ、センタリングができてしまうということです。(ちなみに、クロップとセンタリングはドットバイドットで映像を楽しみたいときには必要ありません。)

 このモードはおそらく、何らかの要因で解像度が正常に検出できない時に使うための機能だと思いますが、こんな裏技的使い方もできるという紹介でした。ちなみに、PlayStation 2 と LCD2690WUXi の接続は、SCEI 純正コンポーネントケーブルと、変換アダプタを付けて mini D-Sub 15pin ポート(アナログ)に接続しています。MDT241WG ならば D端子ケーブルで直結できるので俄然便利でしょう。

 ところで、PlayStation 2 から出力される信号は、最小値と最大値が同期用に予約されているため、16 〜 235 (符号なし1オクテット)に制限されています。そのせいか、特に黒が浮いてグレイになってしまいます。LCD2690WUXi はマルチメディア向けのディスプレイではないため信号レンジの補正は行いませんが、「ブラックレベル」を調整することで締まりのあるブラックを表示できます。

[ ナナオからの謎のメッセージ ]

※ このセクションは半分ジョークです。暇つぶしにお読み下さい。

 MITSUBISHI VISEO MDT241WG が発表される前日の2007年5月10日、ナナオの自作自演情報発信コーナー「EIZOチャンネル」で非常に奇妙な記事が掲載されました。そのタイトルは「本田雅一コラム:TVとPC用ディスプレイの統合時代を考える」。この記事は、当サイトで私が散々述べている "フルHD映像の登場と、コンピュータ用ディスプレイのワイド及び高解像度化に伴うコンピュータ・マルチメディア融合型液晶ディスプレイに対するニーズの高まり" という話題から始まり、そのあと、これも散々述べている "TVとコンピュータモニタの物理的、規格的、用途的、文化的違いにより簡単には融合できない" という話に移ります。

 記事中盤では、これまたこのページで既に触れている "コンピュータディスプレイとしての性能と、TVとしての性能が両立した製品がない。" つまり「WUXGAマルチメディア難民問題」について触れられています。特にこの記事の場合、「HDMI端子を搭載してる機種もあるみたいだけど、ぶっちゃけ使い物にならないね!!」というような某B社の製品に対する批判的・皮肉ともとれる表現が見受けられます。さらに「I/P変換チップを使えばインターレース映像も映るだろうけど、そういうことするメーカーは技術力がないね!」と言わんばかりの、某M社製品への揶揄も感じられます。(どちらも、かなりムリヤリな解釈ですが・・・。)

 そして記事終盤で、このコラムは意味不明な結論に至ります。「消費者はAV対応のコンピュータ用液晶ディスプレイを強く求めている!」と筆者は強く訴えます。そして「AVとPCを融合した液晶ディスプレイは開発がヒジョーに難しく、超高度なテクノロジーを持つ非常にわずかな企業にしか作れないだろう!!」というのです。

 この結論を出した理由が全く理解できません。ナナオは昔から、自社の製品にまつわる技術を絶賛し、自社に関係ない技術を徹底的に批判してきました。例えばナナオがCRTしか作っていなかった頃、同社は他社が既に参入していた液晶ディスプレイを強烈に批判しました。ところが、ナナオが液晶ディスプレイ市場に参入したとたん「CRTが高画質だなんて都市伝説だ!」などと意見を180度変えてしまいました。特に、彼らの批判は「ライバルメーカーが既に参入し、自分たちがまだ参入していない(参入できない)分野」で顕著です。そんな今までの "前科(?)" と併せて考えると、 以下のような意図が考えられます。

 想像は尽きませんが、この記事の製作サイドが MDT241WG の存在を知らなかったならば、この記事はとんでもない墓穴を掘ったことになります。なぜなら、ナナオはAV・PC融合ディスプレイをリリースしておらず、またその開発は極めて難しく一流企業にしかできないことをアピールしているわけですから、そんなディスプレイを発売するという三菱電機の "偉業" を称えることになってしまうからです。 逆に、MDT241WG を知っていてこのような記事を書いたのであれば、その理由はもはや私の想像力、いや、妄想力では理由が浮かんできません。

【追記】 結局、この記事が公開された直後、ナナオから「AV・PC融合ディスプレイ」である HD2441W・HD2451W が発表されました。相変わらずやることが回りくどい・わざとらしいですねぇ・・・。

 ナナオのおしゃべり好き・批判好き加減には、このサイトを作ってる私でさえもビックリしてしまうほどですが、今回の件以外のも消費者の間で物議を醸した事が何回もあります。例えば、ナナオの液晶TV「FORIS.TV」を売り出す際、科学的証拠を示さずに「プラズマテレビは人体に極めて有害な赤外線が大量に出るので危険!」と消費者に恐怖を植え付けるという、悪質なネガティブキャンペーンを行ったことがありました。またこのとき、家電量販店の店頭風景について「汚らしい」とののしり、さらに「こんな汚いところでテレビを買う消費者は狂っている」という意味にもとれる発言をしたことから苦情が殺到。後日、同社ウェブサイトにお詫びを掲載するという異例の騒ぎになりました。それでも懲りずにネガティブキャンペーンを続けているのは大した根性です・・・。

 最近では、S2411W の定点ドット欠け問題(S2411Wレビューを参照)が騒がれている真っ最中、ナナオはマスコミ向けにセミナーを開きました。その様子は(ナナオの思惑通り?)以下のように記事となって、我々消費者も参照することができます。

ナナオは、お客様との約束を守ってきただけ<ことば>」: ASCII.jp
「お客様との約束を積み重ねたい」――ナナオの液晶ディスプレイ説明会」: ITmedia +D PC USER
ナナオ、液晶ディスプレイへのこだわりをアピール」 : PC Watch / Impress

 そのセミナーでは、ナナオが高品質なディスプレイを開発するためいかに努力しているか、お客様の信頼を維持するためどんなに真剣かをアピールするための、まさに自作自演の「ナナオ劇場」でした。このセミナーの中で、ナナオ販売促進課の梶川氏は「我々は当たり前のことを当たり前にやっているだけ」「これはメーカーとユーザーの間に交わされた“約束”であり、我々はこの約束を守り続けている。これが品質と信頼性になって現れただけだ。」などと述べました。これが、S2411W 定点ドット欠け問題 の当事者たちの神経をおもいっきり逆撫でしてしまいました。自社の実質フラッグシップモデル全個体にロット不良があり、それを「正常品だ!ドット欠けがあることはパンフレットにも説明書も書いてある。そんなことも知らないのか?」と多くのユーザーを突っぱねておきながら、片方では「ナナオはお客様との信頼を重んじ、高品質な製品の開発に日夜努力しております。」と大風呂敷を広げる姿勢に、ユーザーたちの怒りは大爆発。

 このハプニングは、今回のコラム「TVとPC用ディスプレイの統合時代を考える」と同じく、非常にタイミングが悪かったために事が大きくなってしまったわけですが、それ以外にも考えるべき点はあると思います。特に日本人は、自画自賛や、己の功績や努力を人にほのめかしたりすることを、あまり良く思わない文化があります。つまり、不言実行こそ"美"であるという感覚です。特にナナオのような「ものづくり」を行っている企業であれば、その「もの」を見れば、それを作った人間がどれだけ努力し、真剣に作っているかは自ずと分かってきます。それを、マスコミを呼んでベラベラと自慢するのは技術屋としていかがなものかなーと、個人的には思います。また、ブランドやユーザーとの信頼とは、作る(でっち上げる)ものではなく、自然に作られるものであるとも思います。 彼らがこのセミナーで言ったことが「有言不実行」にならないことを願うばかりです。

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