NEC から発売されたプロフェッショナル向けモニタのフラッグシップモデル「MultiSync LCD2690WUXi」。
25.5インチWUXGA・NTSC比91% を誇る IPSパネルと、 ハードウェアキャリブレーション・ムラ補正機能 等を備えた、
高品位次世代ディスプレイの使用感・性能・他製品との比較をレビューしています。
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この番外編は ビジターさんからのリクエストにお応えし、「ビデオゲーム機やビデオデッキなどの映像デバイスを LCD2690WUXi とつないで視聴できるか検証してみよう!」と企画したものです。
※ ここで紹介するトピックでは RDT261WH 特集記事 と似た話題を扱いますが、RDT261WH と同じような「LCD2690WUXi をテレビとして使おう」という趣旨ではなく、 もう少し LCD2690WUXi を多目的に使ってみたいと思っている LCD2690WUXi 所有者向けの情報です。LCD2690WUXi はハイエンドグラフィックス用途のコンピュータディスプレイであり 、このような利用は想定されていなく、またそのような用途に使うべき製品でもありません。 従いまして、LCD2690WUXi は、いわゆる "ゲームヲタク" や "ゲーハ厨" と呼ばれるユーザー層が「それ」目的で買うには不相応なディスプレイであることを始めに理解してください。
PlayStation 3 HDMI ( RGB signal ) |
YAGI Digital TV Tuner ( HDMI RGB ) |
|
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480i (D1) | × | × |
480p (D2) | ○ | ○ |
1080i (D3) | × | × |
720p (D4) | ○ | ○ |
1080p (D5) | ○ | - |
HDCPに対応しているだけあり、プログレッシブ映像なら正常に映るようです。
私の知る限り、最も安く購入できる地上デジタルチューナ:「YUNIDEN DT100-HDMI」・「YAGI DTC10」は、さりげなくアップコンバートに対応しています。 これらのチューナーを使えば、1080i で配信されている映像を、720p にコンバートできるのです。なので高価で、遅延や画質低下を伴うアップスキャンコンバータを購入しなくても、 DVI-HDMI ケーブルで直結すれば LCD2690WUXi でデジタル地上波放送を視聴することが出来るのです。 チューナーは 1.5万円〜1.7万円、ケーブルは4000円前後で購入することができるため、2万円未満でデジタルテレビ放送を楽しむことができます。
▲ TokyoMX 2007/6/8 地上デジタル放送 より
しかも裏技的な操作などは一切必要ありません。チューナと LCD2690WUXi を接続すれば自動的に通信して、強制720p出力してくれます。 また、これらのチューナーはHDMI出力と同時に、D端子・S端子/コンポジット端子 に映像を出力出来るのも便利です。 なので HDMIから音声を分離できない LCD2690WUXi でも他の音声出力端子からアンプやスピーカ等に繋げれば音も再生できます。また我が家では、HDMIをモニタに、S端子をTVチューナーに接続して 480i ながらノイズフリーなテレビ録画を楽しんでいます。最高が720p なため、WUXGA の LCD2690WUXi だとややボケ気味になりますが、もちろんドットバイドットでも表示できますし、 D5(1080p)出力に対応した機器の値段を考えると十分魅力的なソリューションだと思います。
▲ チューナの設定画面。LCD2690WUXi がインターレース信号に対応していないことをちゃんとわかっている。 良い子、良い子。
PlayStation 2 Component |
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480i (D1) | × |
480p (D2) | ○ |
1080i (D3) | n/a |
720p (D4) | n/a |
1080p (D5) | n/a |
アナログRGB映像の場合も結果は同じで、プログレッシブ映像なら正常に表示されました。
▲ プログレッシブ映像出力対応 PlayStation 2 用ゲームソフト「ワンダと巨像」より。
© 2005 Sony Computer Entertainment Inc.
※ 暗部が潰れて見えるのは撮影に起因するものです。
さすがに 480p(720 x 480 pixel)映像を画面いっぱいに表示すると「ガタガタ」になってしまいますが、ボケや色のにじみなどは一切ありません。発色も実に美しい。 LCD2690WUXi のアナログ映像入力における設定項目は気が遠くなるほど多く、垂直・水平の解像度、RGB独立位相調節、水平サイズ、拡大モード、ブラックレベル調節 などなど。
まず、映像の余白をトリミングし、比を16:9に整えるため(元の信号は 720x480px. と 3:2 になっている) 解像度を、800 x 450 pixel.にアサイン。 こう設定しておけば拡大モードを「OFF」で 垂直解像度が1:1(ドットバイドットならぬ、LbL : Line by Line)となり、「ASPECT」で16:9のアスペクト比を保ったまま全画面表示にできます。 さらに、映像が黒浮きしていたため「BLACK LEVEL」を変更し引き締まった映像に直しました。
▲ Sync on Green で同期信号を検出している。
▲ 秋葉原で買ったパーツを組み合わせて作った PS2 - VGA接続ケーブル
PS2 と LCD2690WUXi の接続は単純なもので「RGBプラグをそれぞれRGBピンにアサインする」だけです。VGA端子を買ってきて半田付けするのも良いでしょうが、そういうのは苦手なので「プラモデル」方式でケーブルを作りました。 PS2側にはPlayStation 純正のコンポーネントケーブルを使いました。 かなり不格好なケーブルになってしまいましたが、やってることは実にシンプル&スマートです。BNCケーブルを持っていない人、パーツを買ってくるのが面倒な人は プロジェクター用アクセサリとして販売されている RCAコンポーネント - VGA (mini D-Sub 15pin) 変換ケーブルを買うと良いでしょう。
→ (例)BenQ プロジェクター用 Dsub<コンポーネント変換ケーブル
ちなみに、今回用いた BNC - VGAケーブルは、BNC側がセパレート同期信号方式の「BNC-5」だったので少し不安がありましたが、 LCD2690WUXi はちゃんとグリーンの信号に同期信号が載っていることを見つけ、シンクオングリーンで同期してくれました。この接続方法は、 機器同士を直接ケーブルで接続した物理的な接続ですので、遅延や画質の劣化は起こりません。
Nintendo Wii Component |
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480i (D1) | × |
480p (D2) | × |
1080i (D3) | n/a |
720p (D4) | n/a |
1080p (D5) | n/a |
一方、Nintendo Wii など色差映像方式にしか対応していない映像機器では、LCD2690WUXi に YUV -> RGB 変換機能がないため、画面全体が緑色になってしまいます。しかし色空間以外は、16:9・4:3ソース共に縦横比が正しくノイズレスで表示できているため、RGB空間をYUV空間に変換するトランスコーダを利用すれば正常に使用できると思われます。
以上の結果より、予想通り LCD2690WUXi は インターレース映像に一切対応していないことがわかりました。また、三菱 RDT261WH のように色差入力にも対応していないためコンポーネント接続自体にかなりの制限があると言えます。 逆に言えば「RGBのプログレッシブ映像ならまず映る」と見て良いでしょう。このことから、Xbox 360 の VGA接続も表示できると考えられます。 あとはトランスコーダや、アップスキャンコンバータを利用する他ありません。